晴耕雨筆

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マローの「変身」を読んで、マジックがどのように変化するのか考えてみた

先日のマローの発表はまさに「変革」とも呼べるものだった。

(→変身

 

詳細は元記事を読んでもらった方が速いけど、簡単にまとめると

・基本セットは廃止

・1ブロックは現状の3セットから2セットになり、年に2ブロック発売

・スタンダードは3ブロック分に

・1つのブロックは18ヶ月でローテーション落ち(これまでは24ヶ月)

といった感じ。

 

この変更がどのような影響をもたらすのか?

独自に考えてみた。

 

 

◇基本セット廃止

 

・再録問題

基本セットが廃止されることで、一番問題になるのは「カードの再録をどこで行うのか」だろう。

これまで、基本セットはその名の通り「基本的なカード」を再録するためにあったようなものだ。

 

古くはセラの天使/Serra Angelのような定番のファンタジー要素から、最近だとエルフの神秘家/Elvish Mysticのようなデッキの基本的なパーツまで、基本セットがあることで特に悩むことなく再録できていたのだろう。

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ただ、最近は普通のセットでも再録することは増えているし、むしろ普通のセットで再録を増やす良い口実になるのではないだろうか。

 

ただし、そのセットに合わないカードは収録されないだろう。

テーロスのように、エルフもゴブリンもいない次元があるわけだし。

 

 

・デュエルズシリーズはどうなる?

ここ最近の基本セットの特徴として、デュエルズシリーズとの絡みが挙げられる。

主にメインキャラクターを共有していたが、特にM15は訪れる次元も共有しており、その結びつきは強い。

 

そんな中、基本セットが廃止されると、デュエルズシリーズはどうなってしまうのか?

 

発売が今の夏の時期から変わらないのであれば、春ブロックの2セット目の発売時期(現在の基本セットの時期)と近いことになる。

もしかしたら、春ブロックの世界観を利用してストーリーが展開されるかもしれない。

 

または、これまで通り個別のストーリーかもしれない。

M14、M15ではデュエルズ側で大きく話を進めており、通常のセットとは違うプレインズウォーカーの動向を見ることが出来た。

カードよりも濃く描くことも出来るので、オリジナルを展開する可能性は高い。

 

流石に、デュエルズ廃止は無いと思う。

デジタルからマジックを始める人にMOはハードル高いし、宣伝も力を入れているので、今後も新作が作られるだろう。

 

 

・昔の次元を振り返る機会が減る

これはヴォーソス的問題点。

デュエルズとも関連しているが、ボーラス様が再登場したり、イニストラードやゼンディカーの現状が分かったりと、基本セットは少しだけだが過去のストーリーを補完してくれていた。

 

中でもシャンダラーは殆ど基本セット専用の次元となっており、廃止後はブロックの舞台にならない限り登場することはなくなるかもしれない。

 

 

・プレインズウォーカーの種類が減る

影響は少ないかもしれないが、実は基本セットはプレインズウォーカーが多く収録されていた。

通常のセットは平均して5.14種のPWが収録されたが、基本セットでは平均5.33種であった。

スタンダードで使用できるPWは少し選択肢が狭まるかもしれない。

 

 

◇1ブロック2セット

 

・ブロックでの統一感が上がる

1ブロックが3セットから2セットになることで、ブロックの統一感がより強くなるかもしれない。

これまでもマローが度々「第3セットは難しい」と言っていたが、第1セットが基礎、第2セットが応用だとすると、第3セットは更なる応用+αを要求される。

 

そのため、ブロックの本来のテーマから外れてしまったり、リミテッドのバランスを崩してしまったりしていた。

 

その第3セットがなくなるため、ブロックは基礎→応用という比較的簡単な2ステップになり、1つのテーマをより濃く味わえるだろう。

 

 

・ブロック構築で使えるカードが減る

当たり前といえば当たり前だが、ブロック構築で使えるカードが減ってしまう。

元々、あまり盛んではないフォーマットなので、問題無いだろうが。

 

これまでは第3セット、すなわちブロックの全てのカードが出揃った後のプロツアーではブロック構築が行われていたが、1ブロック2セットになると2回に1回はブロック構築になってしまう。

流石にそんなことはしないだろうから、ブロック構築が採用されることはなくなってしまうかもしれない。

 

 

・ストーリーのボリュームが減る

1ブロックあたりのセット数が減ると、当然ストーリーの進行段階も減る。

例えばテーロスであれば、「世界観説明と予兆→事件発生→結末」の3段階でストーリーを展開していた。

 

これが2セットとなると、次元の雰囲気を感じたらすぐに結末になってしまう。

サクッと終わりだ。

 

勿論、多くのストーリーを素早く進めることができるようにはなる。

気になるあの次元や、名前しか出ていない次元に行く可能性も高くなるだろう。

 

 

スタンダードは3ブロック分に

 

・使用可能なカードが減る

これまで、スタンダードでは「大小小基大小小基」という構造が基本だった。

基本セットはだいたい大型セットと同じくらいの枚数だったので、大*4+小*4であった。

これが「大小大小大小」となるので、スタンダードで使えるカードの種類は減ることになる。

 

もちろん、その分「使われない」カードは減るのだろうが。

 

 

・スタンダードで使えるメカニズムは増える

逆に、大型セットが増えたことで、メカニズムの数は増えるだろう。

基本セットのメカニズムは再録だったし、3ブロックそれぞれのテーマに合わせたメカニズムの組み合わせを楽しめることになる。

 

メカニズムが増えるということは、異なるテーマが3つ同居するということなので、デッキを組むのが難しくなるのかもしれない。

例えばラヴニカの2色環境にテーロスの単色(信心)環境が現在のスタンダードだが、これにタルキールの楔3色環境が合わさると大きく変わるだろう。

 

より面白いデッキが生まれる可能性が高くなるといいのだが。

 

 

1つのブロックは18ヶ月でローテーション落ち

 

・カードの鮮度が短くなる

マジックのフォーマットは数多くあるのだが、最も一般的なのは当然スタンダード。

そのスタンダードを始める際に、カードがどのくらいの期間使えるかは重要だ。

 

ローテーションが速くなるということは、その分使える期間は短くなる。

マジックの先入観として、「カードが使えなくなる」というのは良く言われているし(少し誤解はあるが)、新規参入のハードルが上がってしまうようにも見えるだろう。

 

 

・メタゲームの変動が速くなる

反対に、メタゲームの変化はより激しいものとなる。

どんなに支配的なカードやデッキであろうと、使用期間はこれまでよりも短くなるだろう。

 

成熟した環境が楽しめなくなる代わりに、常に新鮮な環境が保たれるかもしれない。

カードショップとしては嬉しいのかも?

 

 

色々考えてみたが、既にある程度マジックを遊んでいる人には良い変更なんじゃないですかね。

楽しみにしておきましょう。

 

 

 

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