晴耕雨筆

Magic: the Gatheringの様々な楽しさをあなたへ。

【考察】マジック「終わらなかった」発明

公式サイトのマジック「オワタ」二十撰が話題になってますねー。

 

ほとんどのものは後から聞いた話ばかりですが、20年もやってるといろいろあるもんですね。

 

ですが、20年も続いているコンテンツが滅多にないのも確かです。

今回は逆に、なぜマジックが「終わらなかったのか」を考えてみました。

(20個もあげられないけどw)

 

 

◇類稀なる発明

 

そもそもマジックはカードゲームの先駆け。

そのカードゲームという形態が、他のゲームに対する優位性を持つのでは無いでしょうか。

 

・そもそもセッションに時間のかかるTRPGよりも短い時間で遊べるように作成された

ボードゲームよりも道具や準備がいらず、2人いれば遊べる

アーケードゲームやTVゲームと違い、カードを持ち歩けばどこでも遊べる

・カードショップという物理的なコミュニティがある(携帯機やネトゲとの違い)

 

もちろん、他のゲームがつまらないわけじゃないですが。

それでもこの娯楽に溢れた時代に、TCGを遊ぶ理由があるはずです。

 

そして数あるカードゲームの中でもマジックを遊ぶ理由が。

 

 

◇自由自在な世界観

 

マジックの舞台は多元宇宙。

それぞれの次元は特徴的で、まったく違った様相となっています。

 

次元全体が都市になっているラヴニカ。

ゴシックホラーのイニストラード。

和風な雰囲気の神河。

 

この多様性こそがマジックのバリエーションであり、飽きの来ないところです。

共通する概念は5色のマナとプレインズウォーカーくらい。

 

ゲームにおいて世界観ってのは非常に大事ですが、

ガッチガチに固めちゃうとすぐ限界が来てしまいますからね。

(分かりやすいのは戦国史実系。織田〜徳川をやっちゃうと終わらざるを得ない。)

 

 

◇あなたはプレインズウォーカーだ

 

マジックのプレイヤーはプレインズウォーカーという魔法使いです。

目的は様々ですが、あなたがクリーチャーを召喚し、魔法を操っているところは変わりません。

 

つまり、プレイヤーの立ち位置がはっきりしているということ。

どんな次元を旅していようと、そこはブレないでしょう。

 

そもそも原点としてRPGがあるので、「キャラクターになりきる」ことが必要だったのです。

(ロールプレイングですからね、役割を演じるってこと)

 

舞台は毎年変わっていきますが、あなたは変わらない。

これはゲームを長く続けるためにとても有効でしょう。

 

 

◇リチャードが発明し、マローが完成させたもの

 

すなわち、カラーパイです。

 

マジックの魔法は基本的に5色に分かれており、それぞれ特徴付けされています。

例えば、白は平等や平和を重んじ、それが極端になると厳格で統制をとろうとします。

 

カラーパイはマジックが誕生した時からありますが、

今のデザインのトップであるマローはこれこそがマジックの根底になるものと考えています。

(流石はカラーパイの番人……)

 

マジックは他のカードゲームよりも色に拘ってる人が多いですよね。

青が凄い嫌いだったり、意地でも緑使ったり……

 

これがキャラ付けとして役に立っているワケですね。

「俺はこんなプレイヤー(プレインズウォーカー)だ!」って感じで。

 

ラヴニカのギルドはこれを更に進化させたもの。

プレイヤーの好みやスタイルを、10パターンに分け、所属させたのです。

 

所属というのはそのまま「継続」に直結します。

所属が継続に楽しみを与え、継続が所属をより強固にする。

(刹那的で快楽主義な人はラクドスが好きになり、ラクドスのスーサイド戦略を使うほど教団員としての意識が高まります!)

 

これを徹底的に守ってやると、ユーザーが自分で地盤を固めてくれるんですねー。

 

 

◇学習し、研究し、開発する

 

マジックのカードを作っている開発部、R&D。

調査(リサーチ)と開発(デベロップ)のことですね。

 

マジックは最初から完璧なゲームだった訳でなく、多くの失敗のおかげなんですね。

20回も窮地を潜り抜けてきたのですから、底力は相当あると思います。

 

その恩恵は厳密なルールだったり、新世界秩序だったり、10ヶ年計画だったり……

これまでの失敗を確実に活かそうとしているのが分かります。

 

数百年続いてる老舗のお菓子屋さんみたいに、

歴史が積み重なるほど味と確かさが生まれるんですね。

 

ただ、続けば続くほど、革新というものも必要になります。

続けていき、かつ売っていくためには当然変化が必要に。

 

ここでも多元宇宙とプレインズウォーカーという組み合わせが効いてくるのです。

 

色々な次元とそれに合わせた「システム」。

それらを旅する魔法使い同士の闘いという「コンセプト」。

 

コンセプトとはゲームの背骨。

それがしっかりしていれば、システムが変わってもプレイヤーはゲームを理解することができるのです。

 

例えば上陸は「土地を出すほど魔法が強力になるぞ!」というシステム。

陰鬱は「死のエネルギーで魔法が強力になるぞ!」というシステム。

それでも、どちらも相手に魔法をぶち込むっていうのは一緒ですねー。

 

変化を許容できる仕組みがあることで、歴史という時の試練に耐え、いいゲームになるんでしょうね。

(痛感する……)

 

 

 

他にもプロ制度とかジャッジとか色んな遊び方とかありますが、デザイン段階での発明があってこそのもの。

一介の企画屋としては、こんなゲームを発明したいものです。